FX情報Topへ

 >  FX情報
 >  トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

黒木 亮

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

定価: ¥ 750

販売価格: ¥ 750

人気ランキング: 8362位

おすすめ度:

発売日: 2002-07

発売元: 祥伝社

発送可能時期: 通常24時間以内に発送



国際金融の現場を垣間見ることができる快作

海外のシンジケート・ローン(国際協調融資)の現場を描いた快作だ。



主人公は元邦銀のメガバンクに勤務していたが、学閥に属していないことから冷遇され、現在は米国の巨大投資銀行に勤務する龍花と、その邦銀のロンドン支店勤務でエリートコースを歩む今西の二人だ。



龍花を通して描かれる巨大投資銀行の利益至上主義は吐き気がするくらいえげつない一方で、気持ちがいいくらいの成果主義一本やりで勝者と敗者が二分されるプロフェッショナルな世界だ。一方今西が勤務する邦銀は、日本的な内向き社会で、下のものは頭取・役員といった上の意向ばかりを伺っている。



この両者が同じ土俵で戦ったら、どちらが勝つかは明らかであろう。しかしながら主人公の二人はそれぞれの世界で自己の哲学に従って全力を尽くして自己の案件に取り組んでおり、その姿には心を打たれる。特に邦銀に勤務する今西が苦心してトルコの案件をまとめていく姿は、土俵は違うが金融に携わるものとして正直言って感動した。



もう一つ本書を読んで強烈に感じたのは最初にも述べた巨大投資銀行の血も涙もない利益至上主義だ。現在サブプライムローンが問題になっているが、このような問題が発生する土壌がこの体質に潜んでいることがよくわかった。



それにしても本書に描かれている邦銀の情けなさはどうだろう。最終的には今西にさえ愛想をつかされてしまうのだから救いようがない。邦銀に勤務する一員から見ると、小説として誇張された部分があるが、当たっている部分もかなりあるのも事実だ。この内向き体質を変えないと世界では戦えないということだろう。



著者は元銀行員ということで、国際金融の現場が実にリアルにわかりやすく描かれているので、専門用語を知らない人も楽しめるし、金融に携わっている人にはより一層面白い作品に仕上がっていると思う。





この文庫版と、元の単行本、副題が別だが内容は同一。
そもそも黒木亮氏の「トップレフト」は、2000年11月に単行本「トップレフト ウォール街の鷲を撃て」で祥伝社から発売された。その後祥伝社文庫として「トップレフト 都銀vs米国投資銀行」として発売された。勿論内容は全く同じ。無茶苦茶である。私は祥伝社文庫の「都銀・・・」を図書館で借りた。アマゾンレビューも書いた。他の同系統をと思って、祥伝社の単行本の「ウォール街の鷲を撃て」を借りた。何故なら文庫はロンドン・シティーを舞台の物語だ。一方で単行本は「ウォール街・・・」とある。当然ニューヨークのウォール街とミッドタウンのパークアベニューの物語で別の話と思った。それが全く同じ内容とは・・・。こんなことがあってもいいものなのか。単行本を出し、次いで文庫本を出す際に名前を変えて出すなんて、いいのか?アマゾンでも「トップレフト 都銀vs・・」と「トップレフト ウォール街・・」を合わせて買う、なんて掲示してある。同じ内容なのに・・・。トラブルになるだろう。

懐かしいユーロ金融市場での日本人二人。
懐かしい思いが一杯のユーロクレジット市場。シティを中心として欧州各都市を舞台にした、典型的なエリートの都銀ロンドン支店次長と、屈折した米投資銀行欧州シ・ローン組成担当部長の邦人金融マンの活動のお話。これはユーロ市場の国際金融基本読本として読むべきであろう。斯様な本を書ける作家はそう多くはないので、黒木亮氏は貴重であり期待している。一方でなんと多くの金融専門用語を総花的に盛り込んだ説明とお話にしたことか。まあ現実に即したものではあり、自分としてはとても懐かしく、ノーザンライン、シティ、トルコ出張、マンデイト獲得合戦、インビテーションの長いテレックス、スプレッドと各種手数料のスイートナーで魅力のトルコ、ギリシャ案件、本書はそういう意味ではかなり臨場感はあった。但し小説としては、掘り下げ、展開、迫力的に難あり、やはりこれは国際金融読本として価値がある。昔は大手都銀も主幹事を取りたく意気込んでいた時代ながら、所詮はその実力は大したことはなく自己満足でいい気になっていた時代である。中心の二人の思いはよく理解できる。

ブックマークに追加する

関連エントリー

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://uranutes.net/mt/mt-tb.cgi/40529

FX情報Top >  FX情報 >  トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)



Google


▼ カテゴリー

▼ 関連サイト

▼ RSS

人気ブログランキングへ

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

track feed

My Yahoo!に追加

Add to Google

  • seo
Supported by 楽天ウェブサービス